2012/07/19 ~6日目~





高麗ホテルの朝食会場
人はまばら。中国人らしき人が数人。ここは3Fだが、別のフロアにも朝食会場があった。
高麗ホテルのミネラルウォーター
いつもの北朝鮮産ミネラルウォーター。今では中国で高級品として売られていて人気だとか。


ビュッフェなので色々取りに行こうとした時、給仕のおじさんが駆け寄ってきた。


日本の方ですか?
はい。
私に任せてください。(※と言って、色々皿に取ってくれる。任せる、という大層な日本語がまた面白い。)
日本語上手ですね。
少し勉強しました。


意外に日本語ができる人も居て驚く。
日本人が名古屋空港からそこそこ来ていた時代に勉強したのだろうか。


KoryoHotel
目玉焼きをフライパンで焼く香ばしい香りが会場を包む。もやしのスープはとても優しい味。
北朝鮮のキムチ
割としっかりめに漬け込まれたキムチ。辛さ控えめであっさり。



雨続きの平壌。

空港へ出発。






平壌の普通門
普通門。

ホテルだけ近代化。



セピア色の車窓。
偉大な金日成同志と金正日同志を、わが党の永遠の首領として高く戴いて迎えよう!
↑偉大な金日成同志と金正日同志を、わが党の永遠の首領として高く戴いて迎えよう!


男G 今年もなごり雨ですね。
そうですね(笑)。
日本人のお客が来ない時は、日本語の翻訳とかそういう仕事は無いですか?
男G やってますよ。時々そういう仕事があります。
共和国のドラマとか、そういうのが日本語で見れたらいいと思います。(※多分マニアが居る。)

冷麺は平壌と三池淵、どっちが好きですか?
男G 平壌です。(※同意)



空港への田舎道。

雨の中、今回も首領様が見送ってくださる。


空港に着いたらドライバーさんと別れ、男Gの指導のもと出国カードを記載。
もう出発前で空港のゲートにはヨーロッパ人の列ができていた。ガイド2人と再開を誓い、
チップと共に別れを告げて荷物検査場に向かった。あわただしすぎて曖昧だが、また
来てください、わかりました、とか、そんな会話だった気がする。ゲートを通った後に
振り返ると、今年もいつまでも見送ってくれる同志愛溢れる案内員同志達。
泣ける。


余韻に浸りつつパスポートを持って荷物を預ける受付に並んでいると、1人のおじさんに
声を掛けられる。


おじ あなた日本人?1人で?
はい。日本人ですか?
おじ 私は在日なんだよ。共和国に興味があって来たの?
そうですね、料理も美味しいですし自然も多いですから。
おじ ほんとにそれだけ?
そうです。(※よほど不思議だったのだろうか。)
よく共和国に来られるんですか?
おじ 私はオリンピック選手の指導で招待されて来てるの。
そうなんですね。(※本当に共和国にはいろんな人が訪れている。)



朝鮮観光はいつも梅雨。

ブレザーを着たオリンピックの選手団で満席状態。



いつものハンバーガー。隣が北朝鮮の男性ウェイトリフティングの選手なので色々撮影しずらい。

北京到着。



ここまで来ると、ほっと一息。

しばらく待機した後、帰国の途へ。



~まとめ~

◆観光地としての北朝鮮

世界最後の社会主義国(※ウリ式)である北朝鮮は、その特異な文化による最高指導者崇拝の巨大モニュメントや革命
史跡の数々、ほぼ手つかずの大自然、冷麺をはじめとする美味なグルメ等々、そこには他の国では決して味わえない
常識を超えた不思議な異国情緒が存在する。
特に雄大な自然に関しては外国人にも定評があり、中国、ヨーロッパをはじめとする諸外国から毎年数多くの外国人が
訪れている。それだけでなく、動物園や水族館などでのショーや踊り子による民族歌謡ステージ、はたまた緊迫の南北
分断の地である板門店すら観光地となっており、エンターテイメント性もしっかり兼ね備えている。観光地はほとんど国の
歴史にまつわる物が多く、我々日本人にとっては日本での仰々しい報道とのギャップを感じながらの、絶好の社会勉強
の場になると思われる。

生活は文明化されておらず不便を強いられているだろうが、それ故人々は素朴で、そのたたずまいは日本人が昭和に
置いてきた素朴さ、つつましさが感じられ、軍民一致の体制下で軍人と市民が行き交う街からは、体験してはいないが
教科書で見た戦前の日本のような雰囲気が感じられる。
案内員同志や接する人々も極めて礼儀正しく気遣いが細やかで、不便を感じる事は無い。 写真撮影に関しては軍人を
含む人以外は自由に撮影可能だが、反共和国的妄言を繰り返す旅行者はその限りでは無いだろう。

このように、私が考える旅に必要な要素である"異国情緒、グルメ、エンターテイメント"が全て含まれており、日本人
旅行者のほとんどは意外にもリピーターで占められている。 嫌いな人は嫌いだが好きな人はとことんハマる、そんな
クセのある場所である事は間違いない。

なぜ日本人でもリピートする人が多いのか個人的に分析すると、それはガイド達との交流にあると考える。食事はガイド
2人と 運転手+旅行者の4人で共にし、皆で一緒に食事をして酒を酌み交わすと、かの地にもう一つの家族ができたような
錯覚を覚える。 帰国してからも、彼らは元気でやっているだろうか、ちゃんと食べているだろうか、なんて事を身内を想うが
ごとく考えてしまう人も多いのではないだろうか。





◆進展しない拉致問題

小泉総理の訪朝以降、日本政府は絶えず北朝鮮に対して制裁を続けてきたが、果たして効果はあったのだろうか。
もう10年近く経つが、誰も帰って来ていない。いち国民の私から見ても、平壌の商店で見かけた山積みされた日本
製品を見たら効果には疑問が残るし、中国と北朝鮮の関係はまだまだ太いパイプが存在しているように見える。

拉致を考える前に日朝間の歴史的背景を振り返ると、日本が恨まれる理由で考え付くものを以下に3点挙げる。

①日本は民族の誇りを傷つけ踏みにじった植民地支配を謝罪もせず、賠償もしていない。
②朝鮮戦争では米帝に加担し、最高尊厳である偉大な首領様を苦しめ、民族の統一を妨げた。
③日本が戦後に飛躍的復興を遂げて今の繁栄があるのは、朝鮮戦争による朝鮮の犠牲の上に成り立っている。


①に関しては日韓基本条約で北朝鮮側にも賠償金が韓国を通じて支払われているはずだが、お金は渡っていない。
この事実は北朝鮮にもっとアピールして伝えるべきであり、おかげで結局は北朝鮮に謝罪した事にはなっていない。
その時の韓国の大統領は朴正煕大統領であり、現大統領である朴槿恵朴槿恵のお父様であるので、この件を外交
における攻めの材料として大いに活用していくべきである。事実、日本は大変迷惑している。
そもそも謝罪する必要があるのかどうかの議論はさておき、韓国には謝罪しているので北朝鮮側は不公平感を感じて
いるかもしれない。②と③は恨まれるに十分な理由だろう。
韓国の仏像盗難問題もそうだが、彼らは敵対する相手からはルール無用で何をしても良いというような意識がある
気がする。犯罪行為であるのに返さなくていいという意味不明な考えは南北ともに共通しており、改めて言う事でも
無いが国としても常識はもはや通用しない。

2012年末の日朝協議は、なんと北朝鮮側からの申し出で行われた。向こうから何か言ってくる時は、ちょっと困って
いる時である。新しい指導者になって体制固めに少々金が要るとか、外交の実績が欲しいとかそんなところだろう。
しかし北朝鮮のミサイル予告により、日本側から日朝協議の延期を通告してしまった。小泉内閣以来の値千金、
千載一遇のチャンスをあろう事か自ら放棄してしまった。民主党政権の数えきれない大罪のうちのひとつである。

なぜ拉致問題が進まないかというと、このようにミサイル含む核問題と拉致問題を一緒にしているから一向に進展
しない。また、3年前に拉致被害者家族会から蓮池透氏が除名された。蓮池氏の「北朝鮮制裁だけでは拉致問題
は永久に解決しない
」という持論が制裁を是とする会の方針と異なるという理由からであるが、確かに制裁すれば
苦しむという理論は間違ってはいないが、中国が同調しないと効果は極めて薄い。
最近超大国アメリカを相手に強気で脅しをかける北朝鮮が、その飼い犬の日本が遺憾の意を述べようが制裁しようが
はっきり言って気にもしていないだろう。だが逆に言えば、アメリカや韓国と違ってそこまで敵対もしていない。
対話のチャンスは無くは無い気もする。


ANAのおつまみ
薄い塩味のプレッツェルが旨い。


◆核が必要な理由

北朝鮮を取り巻く緊迫した状況
どういう事かというと、北朝鮮は周囲を中国、ロシア、韓国(+アメリカ)に囲まれている。 その3国とは日本は幸いにして
海で隔てられているが、それでも今現在それぞれの国に日本は島々を侵食または脅かされてる。それが陸続きとなると・・・
国土防衛も相当気を使わなければならないし、そんな中で民主主義で日本のように決まらない政治ばかりしていると
あっという間に国は無くなっていただろうし、国家を維持する為には独裁政権もやむを得なかったといえるかもしれないが、
社会主義なのに貧富の差が激しかったり飢えていたりで長年行き詰まっている。

日本はアメリカに守られているからちんたらやっていても生きていけるが北朝鮮はそうはいかない。戦時になったとしても
盟友の中国はアメリカと北朝鮮を天秤にかけてそろばんを弾いたら中朝友好協力相互援助条約による血盟はおそらく
守られないし、中国の今までの行いを見るとむしろ朝鮮族自治州の拡大に走る可能性が大な気がする。

2013年4月24日、核拡散防止条約(NPT)再検討会議への準備委員会で、核不使用をうたった共同声明に日本が賛同
しなかった。日本でも近年核武装の議論が出始めてきているが、例え北朝鮮が万が一核放棄しても日本はその他の国
からの脅威により、核武装の道を選択する事になると思われる。なので、北朝鮮は日本がこれから歩む道を先行している
に過ぎない。あのややこしい3国に囲まれているのに核を止めろと言う方が逆に無慈悲ではないだろうか。

アメリカを始めとする大国や国連がいくら言っても止めようとしない核実験を日本が反対しても何ら効果は無いし、ますます
拉致協議が遠のくだけである。日本はあれこれ複数の外交問題を処理出来る程外交は上手いとは思えない。この際核問題
は他の国にお任せして北朝鮮が核実験をしても騒がず、否定も肯定もしないという日本お得意の先送り主義を実践しつつ、
そろそろ拉致問題一点に的を絞って最優先かつ全力で被害者救出に取り組んで頂きたい。 助けを待っている被害者の
寿命は有限なのだから。

2013年4月29日現在、北朝鮮の大きな収入源であった開城工業団地が閉鎖に向かっている。私はこれも拉致協議再開の
チャンスと見る。ロシアを訪問した安倍総理が、経済や領土問題だけでなく、裏で拉致問題の連携もしっかり協議していると
願いたい。

※PRESIDENT ONLINE:拉致問題を前進させたのはプーチンだった





◆今後の展望

今後の展望として、今後は小泉進次郎氏が日朝関係のキーマンになるのではないかと大胆予想してみる。
金正恩第一書記と小泉進次郎氏のお父上はどちらも日朝平壌宣言を交わした当事者であり、ご子息の彼らも
これからのアジアの若きリーダー?と言える。安倍総理が訪朝して正恩氏に進次郎氏を顔繋ぎして、進次郎氏が
正恩氏と共に日朝関係改善に尽力し、拉致問題の進展の実績を上げ、その功をもとに小泉進次郎総理へ・・・
となるかは不明だが、若い世代にも今後を期待したい。

この旅行記は若干北朝鮮寄りな文章が目立つかもしれないが、もし北朝鮮に行かれる際はこれくらいの気持ちで
行かれた方が安全だろうという事で敢えてそのように記述している。本記事は個人的な忘備録であり、決して渡航
を促す物ではなく、拉致問題風化を防ぎ、日朝問題に関心を持ってもらうべく作成した。

もし北朝鮮に行こうと思ったら自己責任にてご判断して頂き、行くならしっかりと見識を広めてきて欲しい。
外務省:北朝鮮に対する渡航情報

そうそう、セブンスター(ソフト)とチョコレートは忘れずに。

記:2013/04/30

→2013年訪朝へ
←2011年訪朝へ



※↑私も読みました



無事帰国。空港では特に荷物を開けられる事も無い。
北朝鮮のたばこ/タバコ 故郷、ゴヒャン
北朝鮮の今最も一般的なタバコ、故郷。






★煙草以外に持って行って良かった物
 ・カメラの予備電池 ・・・ 動画撮ればすぐなくなるので
 ・トイレットペーパー ・・・ 地方のホテルのトイレで紙が切れてしまった
 ・ネット上にある北朝鮮の写真 ・・・ 話題作りに(※ただし体制批判の記事や料理人関係とか微妙なのはNG)







◆北朝鮮旅行リンク◆
Youtube:chojiro22's channel
週末ピョンヤンで、ちょっと息抜き
旅が仕事 世界一周 BLOG
ちくわブログ:北朝鮮よど号グループ取材記